第3回SDGs岩佐賞 農林水産・食の部受賞20230930

活動名:美味(おい)しく食べて竹林整備



農林水産・食の部 賞金100万円

荒れた竹林に放置されているタケノコから国産のメンマを作り、「竹林整備」と「地域活性化」を両立させるプロジェクトを進めています。

いま、竹林の荒廃は全国的な課題となっています。農家の高齢化などで手入れが行き届かなくなると、竹の地下茎が伸びて周辺の森林や農地の樹木を枯らす、大雨で斜面が崩壊する危険性が高くなる、下層の植生が育たず生物多様性が低下するなど、様々な問題が生じる可能性があります。

そこで2010年、竹林の整備と特産品づくりによる地域活性化を進めるべく、私は福岡県糸島市で「糸島コミュニティ事業研究会」を設立。通常、竹林整備の際は、高さ1~2mに伸びた状態の竹(私は“幼竹”と呼んでいます)を伐採します。そのまま捨てられるだけだったこの“幼竹”を生かす方法として思いついたのが、メンマの製造でした。いま国内で流通しているメンマの大半は、中国や台湾などからの輸入品です。おいしくて安全な国産メンマを作れば需要があるだろうと考えたのです。

様々な製造工程を試した結果、皮を剝いで節を除いた“幼竹”を切ってゆで、重量の30%の塩で漬けこみ、その後、塩抜きして、しょうゆや甘酢で味付けするという方法にたどり着きました。この詳しい製法は、全国の生産者に無償で提供しています。

第3回SDGs岩佐賞_糸島コミュニティ_本文
近隣農家や竹林整備団体などから持ち込まれた幼竹を計量・加工している様子

2017年には、竹林整備とメンマ製造を推進する全国ネットワーク「純国産メンマプロジェクト」を立ち上げました。いまでは、40都府県の114団体 ・個人(2023年9月15日現在)に活動が広がっており、全国各地でそれぞれに工夫を凝らした「ご当地メンマ」が販売されています。

さらに、販売強化や情報交換、人材育成のための交流活動も実施。昨年、淡路島で開催した「第4回メンマサミット」には、約300人もの生産者らが参加してくれました。今後も全国の仲間とともに活動を続け、高品質の国産メンマの増産と里山の竹林整備を一層進めていきたいと思っています。

受賞コメント
権威ある賞をいただき、感謝申し上げます。今後の課題は、国産メンマの技術レベルの向上や品質の統一、増産化などです。いただいた賞金は、そうした課題克服や活動をさらに広げるためのセミナーなどに有効に活用いたします。



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