放置竹林対策で純国産メンマ作りの本領発揮
「純国産メンマ作りによる竹林整備」が始まってから約10年となります。純国産メンマプロジェクト(曽根原代表)を主体に全国に広がり鹿児島から青森迄200を超える団体が竹林整備を行うに至った。幼竹伐採による竹林整備と併せ輸入に頼るメンマの国産化を進めている。特に最近はクラフトメンマ等地域の特徴を生かしたメンマ作りが進んでいる。
林野庁の「竹の利活用に向けて(平成30年)」への純国産メンマ掲載や本年度令和7年度福岡県「福岡産メンマによるタケノコ産地振興補助金」が進められており、今後本格的な放置竹林の改善が進むと思われる。
「純国産メンマ作りによる竹林整備」は元々難航する竹林整備を解決する為に開発されたものであり、本格的放置竹林再作の重要な策として本領発揮となる。
現在全国的に行われている各種竹林整備補助金は主に竹伐採補助金が主であり、未だ竹の発生を抑える策が執られておらず、成果を出す為には①竹の発生を抑える(メンマ作り)を第一に」、②次いで立っている竹、枯れ竹の処理を合せて行うのが理に適うやり方である。
純国産メンマ作りによる放置竹林対策を行うにあたり若干考えてみた。
――――――――----ーーーーーーーーーーーーーーーー------------------ 2025.11.30
放置竹林対策―純国産メンマ作りの本領発揮
糸島コミュニティ事業研究会 日高榮治
「純国産メンマ作りによる竹林整備」は難航する竹林整備の解決を目的に考えられた解決策であり、大きく2つの成果を目的としたものです。第一は、「幼竹採取による竹林整備の推進(今迄に無かった不要な竹の発生を防止する策)」、第2が「採取した幼竹で輸入に頼るメンマの国産化を進める」という両面の成果を得るものです。
※2014年糸島市市民提案型まちづくり支援事業「竹の市:竹の需要開拓による竹林
整備」にて検討。
2. 「純国産メンマ作りによる竹林整備」考えの全国展開
2017年竹林整備で繋がっていた全国の有志と純国産メンマプロジェクトを設立。その後はプロジェクトを主体に、行政や関係各位のお力により現在鹿児島県~青森県迄200団体で行われるに至っており喜ばしい限りです。
又「純国産メンマ作りによる竹林整備」は「竹の利活用推進に向けて※」(平成30年林野庁)で記載される等行政にも少しずつ認知されつつあります。
今後、膨大な全国の放置竹林問題を解決していくには、「純国産メンマ作りによる竹林整備」を正しい認識(不要な竹の発生を抑える策)の下で行うべきと考えます。
3. 「純国産メンマ作りによる竹林整備」による放置竹林問題解決へ
放置竹林が何故できるのかは皆の知る通りで、1960年代より種々の理由で竹林が放置され、竹の旺盛な繁殖力により毎年竹が多量に生成し、繁茂し荒廃してきたのが原因である。
タケノコ生産竹林では取り損ねのタケノコが竹になるが、放置竹林では発生するタケノコが全て竹になるという凄まじい事が起こっている。
これを解決するには旧来の竹林整備(枯れ竹の整理と青竹伐採)だけでは解決は不可能であり、先ず「不要な竹の発生を完全に抑える」ことが必要です。
不要な竹の発生を抑えるには「幼竹を(親竹育成分を除き)全抜」する事であり(又、採取した幼竹をメンマ、タケノコの塩蔵品として活用する事である)、この方法で竹の発生が完全に抑えられ、竹は増える事はない。この状況で青竹、枯竹の処理を行えばその分整備は確実に進む。実際純国産メンマ作りをした人ならその効果は歴然である(未だ皆に充分に伝わってないところがある?)。
又本年度福岡県では「福岡メンマを通じたたけのこ産地の振興補助金」が制定されるなど、今後全国でタケノコ産地振興、更には本格的な放置竹林対策が行われるきっかけとなったと考える。
4.「純国産メンマ作りによる竹林整備」で効果ある竹林整備を!
今迄多くの実績を上げてきた「森林・山村多面的機能発揮対策交付金(林野庁他)」並びに各県、市が行っている「竹林整備に対する補助金」は主に“竹伐採の補助”であり、残念ながら竹の予防に対する支援は未だ無い(これは水道の蛇口の水を全開して排水作業をしている様なものであり、先ず水を止めて行うべきものです)。
今後の膨大(*後述)な面積の放置竹林対策で効果を発揮するには、「先ずは不要な竹の発生を防ぐ幼竹伐採」を第一に考え、併せ立っている竹の伐採、枯れ竹処理と併用して(共に)行う必要があります。
放置竹林対策は、管理されていない土地等難しい問題もあり、行政との連携が望まれるが、「純国産メンマ作りによる竹林整備」は放置竹林対策で本領を発揮できるものであります。竹の性質上この事業は、<⇒親竹残して幼竹を完伐(春の竹林整備とメンマ生産)、秋冬の竹林整備>と繰り返す終わりの無い持続的活動であり、荒廃の原因である竹の旺盛な繁殖力が逆にタケノコ、メンマ作りの原動力となります。
特に国(林野庁)、県、市町村等に対して「竹林整備の効果を出す為には幼竹伐採が第一」であることを再度、訴え、具体的に実行できる様努力お願い致します。
放置竹林対策は、「純国産メンマ作りによる竹林整備」による理に適った解決を進めましょう。
関係各位のご協力をお願い致します。*参考資料を添付致します。
【参考資料】
★今後の放置竹林対策を行う上で、幼竹採取と放置竹林を考えてみたい★
1. 純国産メンマ作りによる竹林整備
(1)幼竹採取
【考え】
① 基本的には、2~3m程度の幼竹(取り損ねのタケノコ又は竹になる前のタケノコ))をノコ又は鎌などで採取する。幼竹を切り取る方法が掘らなくて計画的に行えて作業性が向上。
竹になる前の幼竹を叩き折っているケースもあるが価値を生まない事であり、輸入に頼る純国産メンマに加工する事でタケノコ以上の価値を生みだす。
② 親竹用を残し、幼竹は完伐。親竹を残すことで、その後の持続的な幼竹発生を促す。
③ 幼竹伐採で不要な竹の発生を完全に防止する事で、後は立っている竹、枯れ竹を処理する分確実に整備が進む。
【方法】
① 高さ2~3mの幼竹を地上約20cmを残し切り易いところで採取する。
1m程度でも可能であるが、大きくして採取するが効率的である。
② ノコ(鋸)、カマ活用を奨める(鉈等で叩き折らずに丁寧に採取する)。
③ 元部の方1.5-2mは部分的に硬い部分があり、用途を考えて対応する。
④節のすぐ下の部分等は硬い所があり(節と共に除去)。
<美味しく食べて竹林整備p24より>
(2)タケノコ採取に比べ、探す・掘る作業が要らず、1~2秒で切り取る事が出来、効率が圧倒的に改善する。穂先が地上に出てから7~10日程様子を見ながら採取するので計画的にできる。
(3)採取する幼竹は1.5~2mを目処に行うが、自分で採取―塩漬けする場合は3~4mの幼竹でも(柔らかな部分だけを活用)可能であり、一般には幼竹を農家等から買い上げる場合等は加工時の廃棄を減らす目的で1m~1.4m等短めに買い上げる等が行われている。尚さらに4~5m等に伸びた幼竹も上部1~2mは使える(細くなったり、枝芽の問題あり)。
(4)穂先タケノコも美味しいとの事であるが、2~3mの幼竹の穂先40~50cmを採取しており、可食部約800gと純国産メンマの可食部の約4500gに比べ雲泥の差である。
(穂先タケノコ¥4,000/800g、純国産メンマ¥22,500/4500g)
穂先メンマの場合上部50cmをとった後、下部1.5mを山に残す無駄もある)
(5)竹利用の検討方法(林野庁 竹の利活用推進に向けて・平成30年より一部抜粋)
【2】竹製品や食料利用の新たな展望(p21)
一方、食料利用については新しい竹林の産物利用の一つとして、現在は殆どが輸入に頼っているメンマの代替品として、収穫時期が過ぎた伸びたたけのこを利用する取り組みがある。1m程度に伸びたタケノコであっても採取して塩漬け・発酵させることでメンマ風の食品を作ることができる。伸びたたけのこの採取は、土から掘り取る作
業が不要である事に加え、採取時期が通常のたけのこよりも幅があり、特段の加工施設もいらないため、地域住民の活動における収入対策として、徐々に取り組みが広がっている。
この取り組みにより「国産メンマ」あるいは「穂先タケノコ」といった新ジャンルが確立されつつあり、食品産業や外食産業から注目されている。
2. 竹林・放置竹林の状態(放置竹林の面積等がはっきりしない、管理されていないので難しい?)
※当面は目の前にある荒廃竹林を整備していくだけではあるが、、、
以下は、日高のメモより (詳細はnet等で確認願います)
(1)日本の国土、森林、竹林面積(2018年林野庁)
日本の国土3,780万ha、森林面積2,508万ha(国土の2/3)、
竹林面積17.5万ha(全森林のの0.7%)*2022年(2012年は16万ha)
竹25%含む森林を合せ 42万haと言われる。
竹材用面積 56,800ha(2007年)
タケノコ栽培林 23,100ha
合計 79,900ha
日本の竹林面積の2/3が管理されていない(放置竹林?)。
放置竹林は11~12万ha
混交林 42万ha(竹25%以上の森林)(2022年)
(2)竹林の分類
管理竹林(生産竹林)、放置竹林、拡大竹林、木竹混交林
生産竹林(タケノコ、竹材生産林)、放置竹林、侵入竹林
(3)タケノコ17万トン(ピーク)生産した1980年(S55年)から考える
国産タケノコ生産最大値17万トンに比し現在の生産量2~3万トンから 考 えるとその差14~15万トン分の竹林が放置・荒廃している。
今のタケノコ生産林の5~6倍の竹林が既に荒廃している。
試算:S55年(1980年)のタケノコ生産量(青果+加工)17万トン
この時のタケノコ生産竹林面積が不明
H19年(2007年)(林野庁タケノコ生産量/京都大学竹林面積)
タケノコ生産量2万トン/タケノコ栽培林面積23,100ha
3万トンとしても ha当たりタケノコ生産量は1.3トン/haでありあまりにも少ない
(130kg/反・10a)。
一般に八女の野中氏によると少なめに見ても10トン/ha(1~1.5t/10a)であり約1/10である。場所によって差異はあると思われるが差がありすぎる。
そのまま計算すると1.3トン/haとすると17万トン時の竹林面積は
287,300ha
10トン/haとすると17万トン時の竹林面積は
1,700,000haとなる(大きすぎる?)。
(八女は生産性が高く?全国にあてはめられない?)
17万トン生産した時の全国の竹林面積を知りたいだけですが、、、。
これはタケノコ生産林であり、これに竹材生産竹林、蜜柑山等果樹林への侵入、畑への侵入、森林への侵入分を考えると放置竹林量は膨大である。
全国の放置竹林は無視できない程大きい問題でこのままでは済まされません。
(3)その他状況
① 北九州市状況(2022年4月・福岡県遠賀川森林計画)
北九州市面積49,269haの40%(19,000ha)が森林
森林の10%が竹林1,900ha、内活用(生産竹林)は150ha。
竹林の90%は放置竹林。
② 糸島市(2000年世界農林センサス等)
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| 2000年世界農林センサス | 1998年GIS地理情報システム |
| 面積ha | 森林ha | 竹林ha | 竹林ha |
前原 | 10450 | 3332 | 194 | 556 |
二丈 | 5707 | 3239 | 32 | 291 |
志摩 | 5454 | 1877 | 82 | 394 |
合計 | 21611 | 8448 | 308 | 1241 |
竹林面積 360ha
侵入竹林 450ha(蜜柑山、畑)増加傾向
合計 810ha
③ 福岡県
| 放置竹林 | 侵入竹林 | 合計(ha) |
H30(2018) | 48 | 103 | 152 |
R1 | 49 | 162 | 212 |
R2 | 40 | 147 | 187 |
R3 | 52 | 176 | 227 |
R4(2022) | 70 | 184 | 254 |
④ 京都(2007京大)
竹材林面積 56,834ha
合計 79,924ha
⑤ 世界のタケノコ生産量(2023年FAO)
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| t |
5位 | 日本 | 21,000 |
4位 | ベトナム | 70,000 |
3位 | タイ | 90,000 |
2位 | インド | 130,000 |
1位 | 中国 | 2,300,000 |
| 合計 | 2,611,000 |
世界のタケノコ生産は260万トン
⑥ 糸島市竹林整備、幼竹採取、純国産メンマ生産
糸島市では本年(2025年)約60トンの純国産メンマ(塩蔵)を生産。
(主体は竹次郎で約55トン)
幼竹採取量は約120トン 約30万本(4kg/本として)
(4月中旬~5月始め迄約3週間で30万本(120トン)を駆逐した。
竹を一気に30万本伐採するのは厳しいですが、幼竹は収入にもなり採取可能。
又竹次郎は糸島市内1,000ヶ所の荒廃(放置)竹林を預かり整備しているが
その方法は主に「幼竹採取(親竹除き)と枯れ竹と倒竹の処理」を行っている。
竹の寿命10~15年後には理想の竹林とする、、、との事。
(純国産メンマ作りによる竹林整備の実践であり、15年後が楽しみである)
必要により青竹伐採を行えばその分整備は進む。
⑦ 竹林整備は「森林多面的、、」「市町村」の補助を受けて行われているケースが多く、従来より高齢男性が多かったが、純国産メンマ作りなどの浸透により、若い男性や女性の参加が増え関係人口も増加している。又メンマ、タケノコ等食の繋がりで竹林整備が山村にとどまらずに都会にも広がりを示しており、竹林整備を通じた町村の連携も可能となっている。
「純国産メンマ作りによる竹林整備」では竹林整備に直接関係する人達だけでなく、「食べる」ことも竹林整備と考えています。食べて貰わなくては竹林整備は頓挫します。
今後、国、市町村行政や全国竹産業連合会(全竹連)、竹イノベーション研究会等とも連携して、放置竹林解決に努力したいです。
⑧ 「純国産メンマ作りによる竹林整備」の基本的考え
⑨ 純国産メンマの加工規模
純国産メンマの工程別規模ですが、味付けメンマ等加工品に持っていくのが特長。
現在のタケノコ青果と加工品(タケノコ水煮)があるが、共に地域で出回る事は少な
く特にタケノコ水煮は中国品との競争にさらされている。
純国産メンマは、塩蔵品、水煮としても販売するが、価値の高い味付け品迄加工し
た後地域外、県外に販売するのが特長(価値を高める+中国品との価格競争がない)
である。
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